大正時代、帝都の片隅――
名家の箱入り息子・柾貴は、ひそやかに屋敷の蔵で暮らす美少年・沙月と出会う。
昼は上品な衣装に身を包み、夜は誰にも知られぬ密室で、
細い指と唇、震える声、涙の香り――
背徳と快楽に溺れ、やがてすべてを捨てて逃げ出す二人。
時代のしがらみ、家名、禁忌の恋。
それでも愛し合うこと、触れ合うことをやめられず、
「壊れてもいい、君だけのものになりたい」
春の夜明け、帝都の小さな路地裏で再会したふたりは、
誰にも壊せない“幸福と快楽の密室”を作り上げていく――
文字数 11,108
最終更新日 2025.6.27
登録日 2025.6.27