Domの力も実力のうち。同期を蹴落としてきた財前大慈が潜在性Switchだと自覚したときにはSubから戻れなくなっていた。いつかは戻ると信じてDom自認のまま働いていたが、手のひらを返したような周囲の態度に打ちのめされ街中でパニック発作を起こしてしまう。
目を覚ますと杜上千裕に膝枕されており、彼の診療所に運ばれたことを知る。
「Gare(ケア)を拒絶し続けては心を壊す。僕を利用すると思えばいい──」
精神科医でありDomである千裕が自分を抱くのは仕事上の対応だと解釈し、受け入れる。
千裕とのセックスは甘く、大慈はSubの性感を恥じながら溺れていく。
周りからは性格が丸くなったと評価され、新しい生き方に適応できたかのように思えた。
しかし大慈自身は自分が自分ではなくなっていくような不安を抱えていた。なにより、日々強くなる千裕への想いが「Subだから」だと思うと恐ろしくてたまらない。
そんな中で、なんの前触れもなくDomに転換していた。
「自分は用済みだ。あなたの幸せを願う」と身を引く千裕にホッとする一方で、どこかさみしく感じる。
Domとしての日常に戻り、Subだった過去を・千裕を忘れようとするが……。
あるきっかけによって、再びSubになってしまう。
文字数 14,317
最終更新日 2025.4.12
登録日 2025.4.4