小説書こうよ!BL小説の書き方
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創作のお悩みに、答えてみますぞ! 2

質問⑤ 「ひとりよがり」の直し方は?

  • 大変勉強になるお話いつもありがとうございます。私は商業誌に投稿し始めてからもうすぐ片手の指の数になるのですが、いつも「ひとりよがりだ」と言われてしまいます。いろんな書籍を読んで基礎から学び直したのですが「ひとりよがり」の直し方の答えはなかなか見つからず……。どうかヒントだけでも教えていただけますと幸いです。よろしくお願いします! (HN うさぎまんじゅうさん)

  •  ふむむ、かなり苦しんでらっしゃるんじゃないでしょうか。
     ひとりよがりって言われても、原因が分からないと辛いですよね。
  •  これ、この質問を選んでくれた担当さんのコメントが秀逸で、「片手の指の数が年数なのか本数なのか分からないので、そういうところかな? とも思います」と、書かれていました。
  •  この指摘に対して、うさぎまんじゅうさんはどんなご感想をお持ちでしょう??
  •  「商業誌に投稿し始めてからもうすぐ片手の指の数になる」というのが、おそらく数字としては5だとして、5本投稿したのか、投稿して5年になるのか、うさぎまんじゅうさんは当然分かっているけれど、読む側はどっちなのか分からない、という状態です。
  •  きっとうさぎまんじゅうさんは、今ここで言われて初めて「えっ、そっちの視点あったの?」と思っているのではないでしょうか。そんなふうに読み間違えられるとは、そもそも思っていなかった……というふうに。
  •  ところが案外、言葉というのはふわふわしているので、限定的に詳しく書かないと意味が曖昧になりがちなんですよね。
     ひとりよがりというのは、結局のところ読み手にどう読まれるか想像が足りていない状態なのだと思います。厳しい言い方に感じたらごめんよ。
  •  それを直すためには、自分では分かっているけれど、相手は分からないかもしれない、というところをですね……。
     推敲のときに徹底的に考えぬくしかありません。
  •  でもうさぎまんじゅうさんは、ご質問の文面を見るに大変素直な感じがいたします。
     こういう方は、担当さんがついて「ここが分からない」「ここ分かるように書いて」と指摘されると、案外素直に直せて、その経験でだんだん「ハッ、こう書くとまた分からないって言われるだろうから直しておこう」と気づけるのではないか、そしていつの間にかひとりよがりを脱却しているだろう……と思うので、私は期待してしまいます。
  •  ひとまず、ひとりよがりと言われた過去の投稿作を見直して、今回の「片手の指の数になる」みたいに、曖昧な表現がないかを探し出すところから始めるとよいのではないでしょうか。
     それで、ここがよくないかも、と思ったら、次は気をつけて書いてみる。
     この繰り返ししかないかなあと思います。
  •  しんどい作業だよね。でも、ファイト! あなたならやれると思う!

質問⑥ BL作品における女性キャラの扱いは?

  • ズバリ、BL作品で女性キャラを登場させることの是非です。
    いわゆるチョイ役ではなく、主要な見せ場の一つくらいあるような脇役キャラです。主人公達の惚れた腫れたに対してのスタンスは賑やかしだと理解しており、恋慕に深く関わることをしません。当然、女性として登場する必然性もあってのことです。
    このような感じの女性キャラでも登場させない方が無難なのか、割と気にしないという意見になるのか、お答えくださると嬉しいです。
    (HN AAKIさん)

  •  うーんこれは難問だぞ。どう答えるのがいいのだろう……。
      ズバリ、面白く書けてりゃ許される。
  •  これに尽きると思います。面白いってことは、その小説において出てくる必然性があったというか。そのポジションは女性キャラのほうが男性より映えた、ということだと思います。
     私は結構、重要な脇役に女性を置くことも多いんですが。(え、そうでもないって?)
  •  なんでかというと、単純に女性キャラのほうが自然だからそうしてるとか、そもそも母親とか姉とか、女性じゃないと成り立たない関係性だったりとか、そういう理由で書いてます。
  •  でも、そこは作者の納得感かなあ。作者がここに女性の脇役を持ってくることが自然だと思って入れているのか、べつのもくろみがあるのか、理解して書いているのが、重要かなと。
  •  正直、もくろみをもって入れるよりかは、自然だから入れた、というほうが違和感がありません。もくろみをもつ、ということは「読者をある程度操作する」という行為になってくるので、場合によっては反発を受けます。 (だからといって、やっちゃダメというわけでもない。読者をある程度操作しないと書けないタイプの作品もありますし、そもそも小説ってどう書いても自由ですからね)
  •  大事なのは、性別がどうであれ、主人公のために脇役が存在している、という大前提を崩さずに書くことだと思います。第一回のキャラクター編での、脇役のメイキングについてお読みくだされば分かるとおり、脇役が主役を食うのはあまり好ましくないかなと。
  •  つまるところ、お話の大筋や主人公との関係性において、重要じゃない側面を描写しない、ということです。
     女性キャラを出して忌避感をもたれる場合は、往々にして「お話にも主人公にも関係ないことが書かれている」というケースだと想像します。
  •  そこさえ気をつけていれば、脇役を女性にしても、大きな問題はないかなと思います。
     AAKIさんが書きたいなら、上記のことに気をつけて登場させちゃってもいいんじゃないかしら。
  •  が、まあこれはね、好みの問題だから。
     どうしてもいやって人もいるし、だけど作者にだってどうしても書きたいって人もいるし。
  •  再三言いますけど、BL小説は娯楽小説なので、好きなもんを読めばいいし、好きなもんを書けばいいので、そこの好みが合わないなら住み分ければいいんでない? とも思われます。
  •  私は、女性キャラが脇で出てきても気にしません。どんどんやってくれ派です。でも、異世界ファンタジーで男しかいねえ世界です! と言われるとそれはそれでオッシャ! となりますので、どっちも好きってことになりますね……。

質問⑦ 序盤の「つかみ」の作り方は?

  • 作品の1文目、ワンシーン目に何を書くべきかとても悩みます。昨今、小説に限らずあらゆるコンテンツの供給が増えてきているため序盤の「掴み」の重要性が一層高まっているかと存じますが、樋口先生はどのような工夫をされていらっしゃいますか?
    (HN ながみさん)

  •  つかみの問題ですか。ふーむ。難しい問題ですねえ……。
     どちらかというと一冊まるっと手に取ってもらえる紙書籍よりも、連載を追ってもらう必要があるネット小説において悩まれている方が多いのでは……と、コラムの担当さんが仰っていました。なるほど、たしかにそうかも。
  •  最近いろいろ読んでいて気づいたのですが、大前提として、文章が読みにくいとそもそも読むのをやめてしまうなあと思いました。
     これは「文章が上手いから読める」のとは違って、「読みにくいから読めない」という問題でして、多少つたなくても読みやすければ読めます。
     読みやすさとはなんなのか……論じだすとキリがないのでここでは扱いませんが……。
     例えば、最初のほうって情報が頭に入りにくいので、私の場合なら、一番最初の文章は一行で改行、以降序盤は二三行ごとに改行を入れてます。
     あとは、まあ、頑張って読みやすい、伝わりやすい文章を書くしかありません。
  •  それはそれとして。内容についても考えてみましょうか。
      第三回の本文執筆編では、作品の冒頭、文庫でいうと二、三十ページ前後、字数で言えば一万四千字から二万字前後までにやってほしいこととして、主人公のキャラだてと、テーマだしをあげています。
     これは冒頭ワンシーンというより、最初の一章全体でやってほしいことですね。
  •  ここから解を導くと、つかみというか、冒頭のワンシーンでやることは「世界設定を見せる」ことと「主人公のキャラをたてる」ことの二つかな。
     少なくとも私はそれをやっていることが多いです。
  •  世界設定というと大げさな感じがしますが、まあ舞台を見せるということですね。現代ものなら普通の日本が舞台だよ~とか、ファンタジーでしたら、貴族がいるんかとか魔法があるんかとかの、基本的な世界観をお知らせします。
  •  それと同時に、読者さんにこの話面白いかも? と思ってもらうことが大事になるわけですが……正直、キャラがたっていれば大抵のものは面白く読めます。
     なので「つかみには、そのキャラクターが立つエピソードを持ってくる」が、まあ正解でしょうか?
  •  昨今、ネット小説で流行の婚約破棄から始まるもの。私も大好きですが……!
  •  「○○ほにゃらら侯爵令息、この俺、第一王子××ほにゃららは、今日をもってお前との婚約を破棄し、かわりに男爵令息△△ほにゃららと婚約する!」
     みたいなのから始まるアレです。男女ものにもたくさんありますね。
  •  これはつかみがいいですよね。まず数行で、「世界設定を見せる」がもう大体できてしまいます。
     どういう文化圏で、主人公がどういう立場で、今どういう状況か、が、王子様のお前と婚約破棄する! という宣言でほぼほぼ分かるわけです。
  •  ほえ~貴族がいるんだぁ、王子様もいるんだぁ、きらびやかな舞踏会とかあるんだぁ、ベルサイユ宮殿みたいなやつかな~、身分差があるんだ~、主人公は断罪されちゃったんだ~、ほんとのところはどっちが悪かったのかなあ、このあとその事情が書かれるだろうなあ……って読むじゃないですか。
  •  さらには、この断罪セリフに対して主人公がどう反応し、頭の中でなにを考え、どういった行動を起こすか、で大体キャラクターがたちます。
  •   世界観の分かりやすさと、キャラクターの立ちやすさが、いわゆる「つかみのよさ」に繋がっていて、興味関心をひきやすいのではないかと分析しています。
     いや、うまいことできてるよ。最初に考えた人、天才ではなかろうか。
  •  ところで……。
     先に書いたことと矛盾するかもしれないのですが、一方で私の中には結構な懸念もありまして。
     つかみの話とずれるかもしれないのですが……最初のつかみはいいんだけれど、あとは退屈……という小説、結構ありませんか?
     すごく勿体ないなと思うわけです。
  •  そういった小説を見ていると、なんとなく感じるのは、「つかみの設定がいい」作品イコール「面白い」作品、という思い込みで書かれていないか? ということです。
  •  「つかみの設定がいいイコール面白い」が的外れというわけじゃないんですが、100%そうだとも思えません。
     これは私の個人的な意見になってしまうのですが……。
  •  実際に、大多数が好きな、ウケる設定(つかみのいい設定)というのは存在しています。そしてそれを使うことで、キャラだてが弱くても読ませることはできます。
     ところが、設定が強いと、肝心のキャラだてのほうは適当にすませがちに見えることがあります。
  •   本来、ウケる設定はキャラクターを活かすためのスパイスなのに、キャラクターがその設定を書くための道具になっている、と言いましょうか。
     先ほどの婚約破棄・断罪劇から始まるお話も、最初はいいけれど、キャラクターが練られていないためになんとなくうしろがボンヤリすること、よくあるのではないでしょうか。
  •  例えばBLでのウケる設定だと、カップリングの要素、わんこ攻め×ツンデレ受け、とかの組み合わせもそうだし、獣人ものだとか、オメガバースだとかの特殊設定も入ってきますよね。
  •  それらを書くことは楽しいし、読者さんにも喜ばれるので、いいことですが、設定に気を取られて肝心のキャラの中身がおろそか、ということが起きやすい気がします。
  •  もちろん、ウケる、つかみのいい設定は思いついたらぜひ書いてほしい。
     というか、現状つかみのいい設定なんてものは大体が書き尽くされているし、著作権なども存在しないような、古い昔の時代からの焼き直しなことが多いと私自身は思うので(乱暴かもしれんが……)あまり小難しく考えずに書いていいとは思うんです。
  •  それゆえに、あまり設定については気を取られないでいいんちゃうか? っていうのが、私の中にはあります。
     そこはさくっと考えたんでええから、キャラクターのこと考えたらどないや? という気持ちがあるんですよ。
  •  例えばですけど、最近流行の悪役令嬢転生ものですが、『ある年齢になったときの、バッドエンドのパターンが分かっているから回避しよう』という設定が主流だと思います。
     ええ、私も大好きなパターンです。めちゃめちゃ読んだとも。
     でね、これ、グリム童話にあると思うんですよ。
  •  王女様が生まれたお祝いに、王様が魔女たちを呼ぶけれど、お皿が足りなかったから十三番目の魔女を呼ばなかった。
     すると十三番目の魔女がお祝いの席に現れて王女様に呪いをかけます。○歳になったとき、糸車のつむに刺さって王女は死ぬだろう……というような予言を残すんですね。
     で、物語としてはこの呪いを回避しようと頑張るんだけど、結局糸車のつむに刺さってしまう。ただ、回避しようとあがいているうちに入り込んだランダム要素によって、のちのち助かる……というような、大筋そんなお話がですね、グリム童話の中にいくつか収録されていたのを覚えています。
  •  有名なのだと眠り姫でしょうか。でもそれ以外にも、似たようなお話はグリム童話だけではなく、西洋の民話には数多く見られるんです。
     グリム童話はもともと民間に伝わるメルヘンをまとめたものですから、出版年は第一巻の初版が1812年ですが、お話自体はもっと前からあったわけですよね。
  •  私は悪役令嬢転生ものを読んだとき、ああこれは、糸車のお話の変形バージョンなんだな、よくできているなと感心しました。
     もちろん最初に悪役令嬢転生ものの設定を思いついて書いた方が、糸車のお話から作ったとはみじんも思いません。
     そうではなくて、大多数が面白いと思うお話のパターンというのは古い時代に大体既に書かれているのだと再確認した、という話です。
  •  これはいい話なんですよ!?
     希望のある話なんです。人間が面白いと感じる物語のパターンは大体決まっているんですから、人と違うことをしてやろうとか、オリジナリティを出さなきゃ! とかは、あまり考えずに自分が素直に書きたいものを書けばいい、それだけで十分面白いお話は作れる、というシンプルな話なんです。
  •  なぜならそういうお話のパターンというのは、子ども時代の読書や観劇、映像鑑賞などなど、物語に触れていく中で、我々の奥底に知らず知らず根付いているものだと思うのです。
     自分が素直に面白いと感じる設定を書いていれば、大抵それは、多くの人に愛されたなにがしかのパターンを引き継いでいる、ということになるわけです。
  •  だからこそ、設定よりもキャラクターなんじゃないかと。
     キャラクターは、設定と違って自分だけのもので、自分にしか書けないからです。
     記号化された「健気受け」とか「俺様攻め」とかに分類されるのだとしても、他人様とまったく同じにすることはできません。
     なぜなら、書いている人間が全員、違う人間だからです。
  •  キャラクターは作家の感性によって調整されます。ものの見方、考え方が反映されます。作家そのものになる、と言っているのではなくて、あくまで感性が反映されてできあがるわけです。
  •  だから他人様のキャラと同じキャラはどう頑張っても書けません。二次創作で原作からキャラを借りていても、そこには二次創作を書いている人間の解釈が差し挟まれます。むしろこの「解釈」が一切存在しないという状態では、二次創作は成り立ちませんよね。
     あえてべつの解釈を差し挟まないのなら、公式のままでいいのですから。
  •  冒頭ワンシーンでやることは、最初に言ったとおり「世界設定を見せる」ことと「主人公のキャラをたてる」ことの二つ。それは変わりません。
     ですが、主人公のキャラをいかに確信をもって書けるか。冒頭から、主人公をどう広げていくか、作者がちゃんと考えて書いているか
     ここにすべてがかかっているんじゃないか、というのが、私の実感です。
  •  そこで一つ実験的なご提案です。
     つかみについては一旦置いておいて、みんなに自分の大好きなキャラクターを分かってもらいたいという気持ちを中心にやり方を考えてみる。
     そんなふうに書いてみるのも、いいのではないかと思うのです。
  •  一度だけでも、試してみてくださると嬉しいです!

質問⑧ 作家を続けるには流行の作品を書くべき?

  • 作家デビューして3年ほどの名もなき新人です。
    最近はファンタジー作品が大人気なので、担当編集者さんからもそういったプロットを求められることが多いです。というか、ファンタジーでなければ読んでくれないような雰囲気すらあります。
    現代ものの淡々とした話や、ごく普通の男性たちが主人公の地味な話が好きなので、今の状況はとても苦しく、疎外感を味じわっています。
    流行に合わせたプロットを書こうとしても何も思い浮かびません。勉強だと自分に言い聞かせてファンタジー作品を読んだりもしていますが、今ひとつ面白さが分からないままです。
    今後も作家として生き残っていくためには、無理をしてでも流行に合わせないといけないのでしょうか。作者がつまらないと思って書いた話でも、読者さんにとっては面白いものなのでしょうか。流行に乗れない作家は潰れていくだけなのでしょうか。このままでは、BLを書くのも読むのも苦しくなっていきそうで辛いです。
    (HN 崖っぷちさん)

  •  ぎょえー。めっちゃ辛いじゃん。
     大丈夫ですか? 眠れてますか?
  •  実は、崖っぷちさんほど状況的に切実ではないものの、ファンタジーが苦手なのに求められるから書くべきですかという質問はいくつかいただきました。
     ちょっとこちらで、この問題について考えてみたいと思います。
  •  まず現状、たしかに、BL小説だとファンタジーが喜ばれる状況になっているようですね。
     正直私がデビューしたときは、ファンタジーを書きたいと言うと、「売れないからダメ」と言われていたので、こんな日が来るとはね~……と感慨深く見守っていますが。
    (そしてファンタジー書いてるけど、特に流行に乗れているわけでもない私……)
  •  うんとね~もう、正直言うとさ。
      好きじゃないものを書いてもあんまり意味ないから、それだったら頑張って好きなプロットを通せるよう今お付き合いしている編集さんにプレゼンするか、新しい営業先に、過去作のサンプルとプロットと、もしもできるなら書きたい話の冒頭十数ページ、欲を言えば初稿! を用意して持ち込んで営業かけるか……のほうが、建設的な気がします。
  •  作者がつまんないと思って書いても、読者さんが面白いと思うことはあります。無理をしてでも流行に合わせたほうがいい場合だって、当然あります。
  •  でもべつに、それがすべてじゃないというか。
     好きじゃないもの書いても、結局一回か二回しか続かないと思うんですよね。割り切ってできるタイプなら、今こんなに苦しんでらっしゃらないと思うし。
     正直、割り切ってできるタイプの方ってかなりいらして、そういう人は流行に合わせたものを書いていけばいいと思っています。
     それはそれでテクニックですから、強みなんです。
  •  でも万人がそうできるわけじゃないから、小説って幅があって面白いんだと思います。
     これが書きたいし、これしか書きたくないし、これしか書けないんだよ、という性情も、流行に合わせて書ける方の強みと同じくらい、魅力的な強みです。
  •  崖っぷちさんにこんなふうに言うのは、「勉強だと自分に言い聞かせてファンタジー作品を読んだりもしていますが、今ひとつ面白さが分からないままです。」とあるから。
     せめても、「読む分には楽しい」という楽しささえあるなら、書けると思いますが。
     読むのもつまらないんですもんね。
     だったらそれはもう、楽しくなるには奇跡が起きるしかないかなと。
  •  一つ確認ですが、読む媒体はプロの作品でしょうか。ここは重要なので訊いておきます。もしまだ、プロの作品は読んでいないのであれば、ある程度人気があって、筆力もたしかだと評価されていて、できれば十五年以上キャリアがあり、いまだ二年に一作は発表しているという、プロのファンタジー小説を読んでみてください。
    (今回は私のを読めとは言わない。私よりキャリアのある人の作品で判断してほしいのですよ)
  •  そのくらい熟練の小説を読んでも、面白みが分からん、と思うなら、もう無理すんな! 崖っぷち、おぬしは現代ものの淡々とした話の申し子なのだ! そこを書くのだ! と言いたき所存。
  •  読んで楽しい、と思える人はまた別です。
     楽しいと思える人には、書ける可能性があるので、たくさん読んでいるうちに、素養が身についてなんとかなると思います。
     書けないけど読むのは好きです、という状態で悩んでる人は、「とりあえずたくさん読んで」がアドバイスです。
     そんでネタを思いついたら書こうぜ、ですかね。
  •  崖っぷちさんはそうじゃないからね。辛いでしょう。
     今いるレーベルでどうしても好きなものを書かせてもらえないなら、ひとまず自分の書きたいものを、お金になるかは分かんないけど一本書いて、過去作と一緒にして、編集部に持ち込みをしたい、とメールしてですね。営業に回ってください。
     ここなら現代ものを結構出してるな……ってレーベルとかだと、確度があがると思うし、そうでないところでももしかしたら求めている可能性があります。
     初稿があれば、向こうも判断しやすいでしょう。
     初稿が用意できないなら、プロットや企画書を作りましょう。
  •  今のところでも書かせてもらえる可能性がわずかでもあるなら、それはもうプレゼンを頑張ってみるべきです。
     自分が書きたいものはこういうものなのだ、と熱意を伝え、プロットと一緒に、冒頭ワンシーンくらいは書いて送ってみましょう。
     それでもダメなら、他のレーベルに営業するしかありません。
     たとえ「崖っぷち」だとしても、過去に電子書籍なり紙書籍なり、まとまった形で世に出たことがある、というのは営業において強みです。
     少なくともまだデビューしていない状況よりかは、確実にとっかかりがあります。
  •  心を殺してファンタジーを書くっていう方法もありますが……。
     もしその選択をとる場合は、もう仕方ないからファンタジーの定型をなぞるしかないよね。そんでその中で、最大限自分のやりたいことをやるしかない。
  •  舞台はファンタジーなんだけど、「淡々とした話や、ごく普通の男性たちが主人公の地味な話」を書くんです。
     たとえば王宮勤めの文官同士の話とかね。(リーマンもの? と思って書く)
     魔法学園の事務と教師の話とかね。(お仕事もの? と思って書く)
     設定だけデーハー(死語)ファンタジーにしといて、中身は崖っぷちさんが好きなタイプのものを詰めるってことです。
     今私があげた設定で書けそうならどうぞ、使ってください。
  •  流行に乗れなかったら潰れるなんて、とても悲しいことです。
     たしかにそういう場合はあります。でも、全員がそうではありません。残る人はちゃんと残っていると思います。というか、私自身流行に乗ったことないし。
     なにより、崖っぷちさんが書くような小説が好きな人は、絶対にいます。それもわりとたくさんいると私は思います。
  •  デビューしてもう三年、されどまだ三年です。
     小説なんて、環境がそろっていれば死ぬまで書けるんです。(まあその環境がそろうってのが、難しいけども)
     まだまだ小説家人生、始まったばかりです。
     私だってまだあと30年くらいある~♪ って勝手に思ってますから。
     まだ下手だけどあと30年あるから余裕♪ って思ってますからね……。
  •  崖っぷちさんが何歳まで書くおつもりかはさておき、まだ小説とのお付き合いは始まったばかりだと思います。
     なんとか乗り越えて、チャンスを狙っていきましょう!
      こうじゃなきゃダメ、なんて決まりは小説にはないんですから。
     絶対にね、地味な話がブームの時期だって、きますからね!
     なにせファンタジーだって、十年前は全然流行ってませんでしたから!
     俺の時代がくるまでに筆力を磨いてやる!! と、虎視眈々と狙ってください。
     勇気出していこう!
  •  なにより大切なのは、好きでいられることですからね、BL小説を嫌いになりそうな方法を選択しない。
     これも大事だと思います。
  •  あと、ネットで閲覧数を稼ぐために、好きではないファンタジーを書いたほうがいいのか……と悩んでいたかたもいらっしゃいましたが、趣味だったら好きなもんを書いたほうがいいんじゃないかなあ……と、私は思います。
     実験的に書きたいのよ、だったら止めませんが、楽しんで書けるってかなり重要なことだと感じてますよ。
  •  はあ……ほんとは顔突き合せて励ましたいよ。なんとかなるといいねえ。
  •  文字数が埋まってしまったので今回はこのくらいになるのですが……。
     答えられなかった質問もいっぱいあったので、なにかしらの機会を設けてそれらにも答えたいなという気持ちはあります!
     ちょっとどういう形になるかは分かりませんが……。
     なんにせよ、みんなすっごい悩んでて、分かる分かる~悩むよね~~! ってことがいっぱいありました。
     質問お寄せくださって本当にありがとうございました。
  •  それでは次回……とうとう最終回です。
     次はもう総括した話になるんですが、作家の精神性というか。メンタルケアというか。心のもちよう、みたいな話になるかなと思います。
      ではまた次回、お会いしましょう~!
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